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21世紀統合医療フォーラム
「心身医療と一人称のからだ:臨床の実際」  深尾篤嗣 (藍野学院短期大学)

 ワークショップスケジュール 
日時  A: 18日午後1時〜午後3時B3
会場  普通教室         。 
定員  15名       
内容  心身医療と一人称のからだ:臨床の実際

★ワークの概要

心身医学は、Descartesの心身二元論以来の西洋近代医学が身体を客体としてのみ扱かってきたことへの反省にたって最初ドイツで誕生し、やがて米国にわたり、精神分析を専門にする精神科医により発展してきました。心身医学の医学・医療モデルは、Engelが1977年に『Science』誌で発表したbiopsychosocial modelです。

Engelのモデルに基づく治療では、医学・医療に「客観的身体」すなわち「三人称のからだ」のみならず、「主観的身体」すなわち「一人称のからだ」の視点が加えられました。これにより個別性、関係性、心理、社会、環境といった面も重視され、「疾患」から「病人」に焦点が移ることになり全人的医療のアプローチが可能となりました。しかし、このモデルでも、関係性を問いながらも要素が三つになっただけで、やはり因果性、要素還元論に基づくという点ではそれまでの医学・医療モデルであるbiomedical modelと同様でした。

祈りの研究で有名なDosseyは、医学・医療を歴史的に次の三段階に分類しています。第一段階の物理的な医学・医療、第二段階の心身相関を認める心身医学・医療、そして肉体や個を超えた意識レベルとしてスピリチュアリティの介在を認める第三段階の医学・医療です。「スピリチュアリティ」は西洋由来の概念であり、「霊性」、「精神性」など様々に和訳されますが、我々はこれを「魂(人間の身体に内在する超越性)」の意味で捉えています。

一方、日本の心身医学のパイオニアである池見は晩年、心身医学の新しい医学・医療モデルとして、biopsychosocio-ecological (existential) modelを提唱し、「心身医学的療法のゴールは実存的な目覚めにある」と主張していました。また、Franklの言葉を借りて「実存的な目覚めには、自我を超えたスピリットへの超越が必要である」としていたことより、わが国の心身医学は早くからDosseyのいう第三段階の医学・医療を志向していたと言えます。

近代西洋文明がこころに比して身体を周縁化する傾向が強いのに対しまして、東洋文明では、「身心一如」、「天人相関」の思想から、禅、瞑想、ヨガ、気功、断食などいずれの技法も自らの内側から主体としての身体を体験することにより健康を得ることが行われてきました。西洋で発達したソマティクス(=ボディワーク)の多くが東洋的技法の影響を色濃く受けているのも偶然ではないでしょう。

哲学者市川浩氏によりますと、日本独特の身体概念である「身(み)」は、客観的身体のみならず、主観的身体、および間主観的でスピリチュアルな深層意識的身体までをも包含する成層的な統合体です。よって、ソマティクスや東洋の技法により一人称のからだとしての「身」を多次元レベルで体験することにより、因果性に基づく「主観的身体=こころ(マインド)」と「客観的身体=身体(ボディ)」の相関を扱う第二段階医学・医療「心身医学」から、共時性に基づく「深層意識的身体=魂(スピリット)」をも含んだ第三段階医学・医療(我々はこれを「魂身医学」と名付けております)へのパラダイムシフトが促されることが示唆されます。

本小会議では、心身医療と一人称のからだの専門家達が一同に会しまして、第三段階医学・医療の可能性その他、臨床の実際における課題について討議したいと思います。


《講師略歴》 深尾篤嗣
藍野学院短期大学第1看護学科教授。1987年大阪医科大学卒業(医学博士)。
大阪医科大学第一内科専攻医、九州大学心療内科特別研究学生、神甲会隈病院勤務、洛和会音羽病院心療内科部長などを経て平成19年4月より現職。

専門は心身医学と内分泌代謝学(特にバセドウ病と糖尿病)。従来の心身医学に限界を感じて、現在プロセスワークを中心に東洋哲学および医学、深層心理学、スピリチュアリティを統合した新しい心身医学(魂身医学)を模索している。日本心身医学会認定専門医、心療内科専門医、内分泌代謝専門医、日本甲状腺学会認定専門医、日本内科学会認定医。内分泌糖尿病心理行動研究会代表世話人。 プロセスワーク資格プログラム在学中。著書(いずれも共著)シミュレイション内科「内分泌疾患を探る」、こころの癒し−スピリチュアル・ヒーリング


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