HOME ワークショップ 予約・問合せ アクセス CEWDとは Link
21世紀統合医療フォーラム
「ロルフィング」   安田登 (下掛宝生流ワキ方能楽師・米国Rolf Institute認定ロルファー) 

 ワークショップスケジュール 
日時  10月20日 16時〜     
会場  普通教室        。 
定員  25名           
内容  概要説明、能とロルフィングの共通点の実習


★アプローチの概要

●ロルフィングとは
 ロルフィングは、手技によって筋膜に働きかけるボディワークです。通常ボディーワーカーとクライアントとの
 1対1で行われます。 ロルフィングを開発したのは、アイダ・ロルフ博士であり、彼女はさまざまな
 ボディワークの手法を取り入れ、ロルフィングを完成させました。ロルフィングの目標は、体のアラインメント
 (整列)を整えることであり、それによって「重力」に対して最も自然な姿勢を取り戻そうというものです。
 そのために全10回のセッションを行い、体中のさまざまな筋肉・筋膜にアプローチしていきます。

 全10回と決められているのは、必要な部位へのアプローチにはそれだけ必要だということと、そして回数を
 決めることによってクライアントの依存を防ごうという意図があります。ロルフィングは手技を使ってベッドの上で
 行われるために、クライアントによってマッサージと混同されやすいために特に後者は重要です。
 10セッションの最後の3セッションの重点目標のひとつに「責任(Responsibility)」の「移転(transfer)」があり、
 ロルフィングが終わったら、あとは自分の体に自分でしっかりと責任を持ち、ロルファーの元には極力通わなく
 なることがいいとされています。ロルフィングはセラピーというイメージを嫌い、開発者のアイダ・ロルフも
 「ロルファー(施術者)はセラピストではない」と断言しています。ロルフィングにもしセラピストがいるとすれば、
 それは重力だ、とも言っています。

 ●ロルフィングの10セッション
  ロルフィングの10セッションは以下の3つのフェイズに分けることができます。しかし、各セッションでは
  どのようなことを行うべきうなどというマニュアルはなく、身体と対話をしながらワークを進めていきます。

  【表層のディファレンシエーション】1〜3
  ロルフィングは呼吸のセッションから始まります。そして最初の3セッションでは、主に表層の筋肉・筋膜に
  アプローチし、それらをゆるめたり、互いの癒着を剥がしたりすることによって、ひとつひとつの筋肉・筋膜が
  ちゃんと独立して存在するようします。


  【深層のディファレンシエーション】4〜7
  次の4セッションでは深層にある筋肉・筋膜に働きかけ、やはりそれらをゆるめたり癒着を剥がしたりします。

  
  【統合】8〜10
  ロルフィングにおいてもっとも重要なのが最後の3セッション、「統合」のセッションです。バラバラに
  独立した筋肉・筋膜を統合していくとともに、自分の中に「統合」センターを作っていく援助をします。
  また、日常や仕事上での動きとの関連も考慮しながらセッションを進めます。責任のトランスファーも
  重要な目標です。

 ●能とロルフィング
  能は室町時代に大成された日本の古典芸能です。私は能のワキ方として舞台を勤めています。
  ロルフィングに出会ったときにはすでに能楽師として舞台を勤めていて、ロルファーとしての経験よりも、
  能楽師としての経験の方が当然長い。ロルフィングに出会う前にもさまざまなボディワークは体験して
  いましたが、ロルフィングは西洋のボディワークというよりも非常に東洋的なものを感じ、また何か能にも
  近いものがあるように感じました。ただ、クライアントとして接したためにその感じは漠然としたものでしたし、
  両者に共通点があるという確信もなかったのですが、ロルファーとしてのトレーニングを受けるうちに、
  能とロルフィングは非常に近いのではないかという確信が強まりました。また、それを探っているうちに
  能楽師になって以来の疑問のひとつが氷解しました。

  能楽師の多くはその家の子弟で5、6才から稽古を始めるのですが、私は遅く、20代も後半になってからの
  入門です。5、6才から稽古を始めるのに、80歳、90歳になっても皆さん現役で舞台を勤めています。
  外部から能の世界に入った者の目から見ると、70歳、80歳の人が元気に舞台を勤めている姿は驚きです。
  世間では老齢と呼ばれ引退をしているくらいの年齢の人が、なぜあんなに元気で現役を続けていられるのか、
  それはずっと長い間の疑問だったのですが、ロルフィングのトレーニングを受けて、能楽師の身体技法を
  眺めてみると、その理由が少しわかりました(まだまだ研究途上ですが)。
  このことについて詳述している紙幅はありませんが、ロルフィングと能との共通点の一部をあげてみると
  以下のようになります。ロルフィングでも、いくつになっても現役でいられる体を目指します。能と同じです。


  ・地に足をつけた静止と動き
  ・丹田からの動き
  ・統合センターとしての丹田
  ・深層筋による動き(「からだ」ではなく「み」の動き)
  ・上下の横隔膜を使った深い呼吸
  ・サトル(subtle)・ムーブメントと能の動き
  ・パリントニシティ(二方向性)の重要性

 ●神話する身体
    さて、能とロルフィングの共通点を探っている途中に、私たちの身体のさらなる可能性に目が行くように
   なりました。結論を先にいえば、それは個人の身体を超えた身体。祖先からの記憶を受け継ぎ、それを
   未来に伝えていく身体で、私はこれを「神話する身体」と呼んでいます。私たちは、この「神話する身体」
   を深奥に有するのですが、しかしそれはなかなか外には現れません。でも、それは常に私たちによって
   読まれることを期待しています。新劇のメソッドに「メソッド演技」というものがあります。たとえば悲しい
   場面の演技では、自分の過去の体験の中から悲しい出来事を思い出します。これがうまくいくと本当に
   涙が流れたりします。すごい。しかし、このメソッドには欠点が二つあります。ひとつはその役者の人生
   経験が演技の質を左右してしまうということと、そしてもうひとつは、自分の人生経験以上の演技は
   できないということです。

   では能はどうかというと、まず演技すらしません。ただ、師匠から厳しく教わった型をそのままなぞるだけ
   です。ただなぞるだけなのですが、これがちゃんとできると、お客さんはそこに立ち上がってくる何とも
   いえない感情に心動かされます。何ともいえない感情というのは、そこに立ち上がってくるのは、
   いわゆる演劇的な感情表現ではないからです。 普段の私たちの心理を超えた、もっと普遍的な感情、
   古語でいえば「思ひ」が立ち上がります。能が六百年以上も伝わっているのは、そこで表現するのが
   日常の感情ではなく、普遍的な感情だからでしょう。そして、それは普段の私たちは認識することが
   できません。たかだか数十年というちっぽけな人生経験では演じることができない。
   だからこそここに「型」というツールを古人は生み出したのではないでしょうか。

   数百年前、いや数千年前に古人は舞や謡の「型」の中に、言葉にできないある「思ひ」を封じ込めて
   冷凍保存しました。「思ひ」のさらに深層に世阿弥は「心(シン)」という神秘的精神作用を想定するの
   ですが、古人はその「心(シン)」すらも型の中に封じ込めたかも知れません。
   「心(シン)」や「思ひ」こそが、私たちの身体に眠る神話そのものです。ロルフィングをしたり、あるいは
   謡ったり舞ったりするという作業は、私たちの身体の深奥に眠っている神話を目覚めさせ、解凍する作業に
   他ならないのではないだろうか、そう思うようになりました。


   ●今回のワークショップ
    今回のワークショップでは、まずはロルフィングと能について簡単にお話をし、その共通点を実習を
    通じて感じていただきます。また、参加者の方の状況や時間によって「神話する身体」についても
    触れていこうと思っています。何が起こるかは参加者の方によって変わってきます。


   ※セミナーに参加いただく際に、能や狂言、あるいはボディワークの経験の有無は全く関係ありません。
    初めてのかたの方がむしろ楽しめると思います。能の謡や舞などのお稽古をしている方にとっては、
    ちょっと違和感のあるワークになるかも知れませんのでご注意を。
    (習われている型が崩れる恐れもあります)

   

    《講師略歴》
    安田登
    下掛宝生流ワキ方能楽師・米国Rolf Institute認定ロルファー
    国内外を問わず多くの舞台をつとめるかたわら、学校での能の特別授業など、さまざまなかたちでの
    能のワークショップを行う。また、心理学・ボディワークの分野での活躍もめざましい。
    著書に「疲れない体をつくる『和』の身体作法」「日本語を生かすメリハリ読み」など多数。



申込み・お問い合わせ

HOMEへ戻る

Copyright(c)2007 Center for East-West Dialogue。 All rights reserved. Base template by WEB MAGIC.